ポイント.
ソフトウェアは一度作れば永久ではない
ソフトウェアの開発環境は進化しています。
開発環境がバージョンアップをするたびに、開発しやすくなり、メンテナンス性も向上します。
全てのシステムエンジニアやプログラマーが、古い開発環境を熟知しているわけではなく、
大体その技術者がプログラミングを始めた時期の最新開発環境以前のものは専門ではないと考えていいでしょう。
システムエンジニア、プログラマーなら、誰でもメンテナンスできるようにある程度バージョンアップを行っていたほうが保守コストが下がります。
数十年前の開発環境から、最新の開発環境に移植する場合、移植のコストだけでも数十万かかることもよくあります。
プログラム言語も、同様に進化しています。
OS上で動くソフトウェアは、OSのバージョンに合わせなければなりません。
特にハードウェアに近い計測や制御の分野では、OSとの親和性は無視できません。
一例としてWindows7とWindows11は、同じWindowsという名前であっても、別物と考えたほうが正しいです。
長くプログラムを活用するために、ときどき開発環境やプログラム言語の見直すことを強くお勧めします。
取引のあるソフトハウスに保守の契約をして、定期的に提案を受けるのも正しいソフトウェアの管理方法だと思います。
どうしても移植をしなければならないケースになり、膨大な移植費用を捻出するならば、定期的な保守を受けたほうがコストは軽減されます。
制作したエンジニアは、永久に保守を行ってくれない
これはソフトウェア産業の特徴でもありますが、総務省統計局による平成26年の調査によると、従業員数が10名以下のソフトハウスが全体の2/3を占めます。
帝国データバンクの調査によると、経営者の平均年齢が60歳程度であることから、「高齢経営者によるソフトハウス経営」に注目する必要があります。
取引していたソフトハウスの廃業で、開発が頓挫してしまったという相談が増えています。
また廃業はしないとしても、担当のエンジニアの退職を機会に、保守サービスが受けられなくなるケースもあります。
そのような事態を見越して、将来の保守や機能追加などのバージョンアップを円滑に行うよう設計ドキュメントの整理とソースプログラムの管理は必要です。
著作権を主張して、ソースプログラムを手渡さないソフトハウスもあるようですが、その場合はしっかり保守の契約を行い、保守の義務を確立しておくべきだと思います。